塾を始めた頃、私は中学生全員に同じ宿題を出していました。家で宿題をやってきてもらい、塾では毎回確認テストを行う。
できなければ追試。この繰り返しで学力を積み上げていく、という仕組みです。
一見すると、よくできた仕組みに思えます。実際、多くの塾が同じような形をとっていますし、私自身もこれが正しいやり方だと考えていました。しかし、続けるうちに、ある現実が見えてきました。
一律の宿題を出しても、やる子はやる。やらない子はやらない。仕組みを整えたところで、この差はほとんど縮まらないのです。
そして、やらない子の振る舞いには、いくつかの型がありました。答えを写して提出する。「やったけれど家に忘れました」と言う。ページだけは埋まっているけれど、中身はまったく身についていない。いずれも、宿題という形式を満たすことには成功していますが、本来の目的である学力の定着からは遠く離れています。
ここで私が問題だと感じたのは、宿題をやらないこと以上に、「形を整えて切り抜ける」という行動が習慣になってしまうことでした。
中学生のうちは、この習慣があってもなんとかなる場面があります。提出物のチェックは表面的なことが多く、定期テストも範囲が狭いので、直前の詰め込みで帳尻が合ってしまう。
しかし高校に入ると、課題の量は増え、一人ひとりの取り組みを細かく見てもらえる機会は減ります。答えを写しても誰にも咎められない代わりに、その分の穴がそのまま模試や定期テストの数字に表れる。
中学までは見逃されていた「やったふり」が、高校では本人に直接跳ね返ってくるのです。しかも、何年もかけて身についた切り抜け方は、高校に入ってから急には直りません。
こうしたことを繰り返し目にするうちに、私は一律の宿題をやめました。
現在、中学生の宿題の柱は、前回までの復習、漢字と英単語、英語の音読です。ただ、授業は個別演習の形で進めているため、一人ひとりの進度が違います。その結果、宿題の種類は共通でも、中身は生徒ごとにすべて異なります。
そのうえで、単元が終わるたびに確認テストを行っています。ここで大切なのは、宿題を提出したかどうかではなく、実際に身についているかどうかを見る点です。復習をせずに形だけ整えてきた生徒は、この確認テストではっきりと分かります。答えを写して切り抜ける余地がないので、取り組んだかどうかが、そのまま結果に表れるのです。
以前のような追試や、宿題とは別の単語テスト・漢字テストは、今は行っていません。英単語については、確認テストの中で書けるかどうかまで確かめられるからです。点検のための仕組みを増やすより、身についているかを一度で正確に見る方が、生徒にとっても無駄がないと考えています。
宿題をきちんと提出しているかどうかは、目に見えやすい指標です。しかし本当に大切なのは、その中身が身についているかどうかです。お子さんの提出物が埋まっていることに安心するのではなく、時々その中身に目を向けてみていただければと思います。
那須塩原市西那須野 本松学習塾 塾長のブログ
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