「丁寧にやりなさい」「最後までしっかりやりなさい」。親御さんや学校の先生がよく口にする言葉です。
もちろん、これ自体は正しい助言です。雑な取り組みで伸びる子はいません。
ただ、長年生徒を見てきて気になることがあります。非常に丁寧に勉強しているのに、なかなか成績が上がらない子がいるのです。
ノートはきれいに取っている。字も丁寧。宿題も毎回しっかり提出する。
一見すると何も問題がないように見えます。しかし、テストの結果は伸びない。こういう子に共通しているのは、「ポイントを捉えるのが苦手」という特徴です。
たとえば、テスト勉強のときに教科書を最初のページから順番に読み始める子がいます。すべての問題を均等な時間と労力で解こうとする子がいます。
どこが重要で、どこに力を入れるべきかという判断をしないまま、ただ隅から隅まで同じ密度で取り組んでいく。結果として、本当に力を注ぐべきところに十分な時間が回らなくなります。
丁寧さと要点の把握は、本来セットで身につけるべき力です。
ところが、大人はつい「丁寧に」「最後まで」とばかり言ってしまいます。なぜなら、雑にやる子の方が目につきやすいからです。字が汚い、途中で投げ出す、見直しをしない。こうした子には「もっと丁寧に」と言いたくなるのは自然なことです。
一方で、丁寧にやっているのに伸びない子は、問題が見えにくい。
真面目にやっているのだから、まさかそこに課題があるとは思われにくい。本人も「自分はちゃんとやっている」と思っています。保護者の方も「うちの子は真面目だから大丈夫」と安心されていることが多い。だからこそ、この問題は長い間見過ごされがちです。
勉強においては、すべてが同じ重要度ではありません。ここは絶対に落とせないという部分と、今の段階では後回しにしてよい部分がある。その見極めができるかどうかで、同じ時間を費やしても到達点が変わります。
これは勉強に限った話ではありません。仕事でも、料理でも、スポーツでも、「全体を均等にやる」のと「重要なところから押さえる」のとでは、成果にはっきりと差が出ます。限られた時間の中で結果を出すには、力の配分を考える必要があります。
ですから、「丁寧にやりなさい」と伝えるのと同じくらいの比重で、「重要なことからしっかりやりなさい」と伝えてあげることが大切ではないでしょうか。
何が重要かを考える習慣がつけば、丁寧さはより効果的に活きてきます。
逆に言えば、優先順位の感覚がないまま丁寧さだけを追い求めると、努力が結果に結びつかないという苦しい状態が続いてしまいます。
もちろん、何が重要かを自分で判断する力は、すぐに身につくものではありません。最初は大人が一緒に考え、「ここが大事だよ」と示しながら、少しずつ自分で優先順位をつけられるように導いていく必要があります。
丁寧さという美徳をすでに持っている子だからこそ、そこに「どこに力を入れるか」という視点が加わったとき、大きく伸びる可能性を秘めています。
那須塩原市西那須野にある高校受験・大学受験塾 本松学習塾

