「うちの子、やる気がないんです」「本人が本気になってくれれば…」と。
こう思われる保護者の方は少なくありません。
「心が変われば行動が変わる」——これは一見正しそうに聞こえます。しかし実際には、順序が逆なのです。
自分を変えたいとき、自分の気持ちを見つめすぎてはいけません。
なぜなら、変わっていかない心をじっと見つめていると、人は落ち込むだけだからです。
「なぜ自分はやる気が出ないのか」「どうして集中できないのか」——こうした自問自答は、往々にして自己嫌悪のループを生み出します。
内省が深まれば深まるほど、かえって身動きが取れなくなる。これは大人でも子どもでも同じです。
変えるべきは「心」ではなく「行動」です。行動を通して心を変えていく。心を一旦忘れることによって、逆説的に心が変わっていく。これが人間の変化の本質です。
たとえば、勉強する気分になれない生徒がいるとします。「やる気が出るまで待とう」としたら、おそらく永遠に始まりません。
しかし「とりあえず机に座って教科書を開く」という行動だけを起こす。すると不思議なことに、5分、10分と経つうちに、少しずつ頭が動き始めます。
これは「作業興奮」と呼ばれる脳の仕組みです。行動を起こすことで側坐核が刺激され、ドーパミンが分泌される。
やる気は「待つもの」ではなく「行動によって生み出すもの」なのです。
相田みつをさんの言葉に「そのうち そのうち べんかいしながら日がくれる」というものがあります。
「気持ちが整ったら」「やる気が出たら」と言い訳を重ねているうちに、時間だけが過ぎていく。
この言葉は、心の準備を待ち続けることの危うさを、見事に言い当てています。
では、保護者として何ができるでしょうか。
お子さんに「やる気を出しなさい」と言っても、心は命令では動きません。それよりも「まず五分だけやってみたら」という小さな行動の提案の方が、はるかに効果的です。
宿題をやる気分でなくても、「とりあえずノートを開く」。模試に行きたくなくても、「とりあえず玄関を出る」。この「とりあえず」の積み重ねが、やがて習慣となり、習慣が心を形作っていきます。
心理学の知見も、これを裏付けています。認知行動療法の基本原理は「行動を変えることで認知(考え方)が変わる」というもの。感情や思考を直接コントロールしようとするより、行動という「外側」から変えていく方が、実は確実なのです。
私たちは往々にして「心の問題」を重視しすぎます。しかし、変わらない心を見つめ続けることは、時に足枷にしかなりません。
心を変えたければ、心から離れる。行動という迂回路を通ることで、結果的に心が変わっていく。
お子さんの「やる気」を待つのではなく、小さな行動を促すこと。それが、変化への最短距離なのです。
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