学習塾を17年間運営してきた中で、ここ数年、明らかに変わってきたことがあります。
授業中に知的な話題を振ったときの生徒たちの反応です。
かつての教室には、英語の語源の話をすれば目を輝かせる子が多くいました。
数学の公式がなぜそうなるのかを解説すれば「へえ〜!」と声を上げる子。
歴史の裏話を少し挟めば「ふんふん」と大きく頷きながら聞き入る子。
彼らに共通していたのは「面白そう」という姿勢で学びに向かっていたことです。
ところが最近、こうした反応を示す生徒が明らかに減ってきています。
代わりに増えているのが「それ、テストに出ますか?」という空気を漂わせてる生徒です。
平たく言えば「点数が取れることを効率的に教えてほしい」というスタンスです。
誤解のないように言っておくと、点数を取りたいという気持ち自体は健全です。
問題なのは、その姿勢が学びの本質を損なっているという点にあります。
私の経験から言えば、「効率的に点数を」という姿勢で学んでいる生徒は、短期的には成果を出すことがありますが、長期的に見ると、大きくは伸びにくいのです。
理由は単純。
「テストに出る範囲」だけを覚えようとする学習は、知識が断片的になりがちです。断片的な知識は応用が利かない。少し問題の形式が変わっただけで使えなくなります。
結果として、模試のたびに成績が乱高下し、本番で実力を発揮できないということが起きます。
一方、知的な話に食いつける生徒は違います。彼らは「なぜそうなるのか」に興味を持ち、興味を持つから記憶に残る。記憶に残るから関連づけができる。関連づけができるから応用が利く。この好循環が、長期的な学力の伸びを支えています。
では、なぜこのような変化が起きているのか。
一つは情報環境の変化です。スマートフォンやSNSの普及により、子どもたちは常に短く刺激的な情報にさらされています。TIKTOKのような短時間の動画、即座に得られる答え。
こうした環境に慣れた子どもたちにとって、じっくり考えて理解を深めるプロセスは負荷が大きいのです。
もう一つは、大人社会の価値観の反映です。
「コスパ」「タイパ」という言葉が日常語になり、最短距離で結果を出すことが良いとされる風潮があります。子どもたちはそれを敏感に感じ取っています。
知的好奇心を持って学ぶことと、効率的に学ぶことは、本来対立するものではありません。
むしろ、知的好奇心があるからこそ深く理解でき、深く理解できるからこそ効率的に定着します。
学びにおける「効率」とは、単に短い時間で多くを覚えることではありません。学んだことが血肉となり、いつでも使える形で身についていること。それが本当の効率です。
知的好奇心は、筋肉と同じで使わなければ衰えます。勉強を「やらなければならないこと」から「知りたいこと」に変えられるかどうか。それが学力の伸びを左右します。
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