中学時代に模試の偏差値が高く、学年順位も良かったお子さんが、高校に入って急に苦しくなる。このケースは、毎年一定数見られます。中学までの成績を思えば不思議に感じられるかもしれませんが、実はこの現象には、はっきりとした理由があります。
その理由の一つが、「抽象度の高い説明に慣れていない」ということです。
どういうことか、英語を例に説明します。高校の英語の授業では、副詞、形容詞、修飾・被修飾、句、節といった文法用語を使った説明が当たり前のように行われます。「この節が前の名詞を修飾している」「この部分は副詞句として機能している」といった説明です。
こうした用語を使った説明を受けた経験がない生徒にとって、これは相当な負担になります。中学時代に英語が得意だった生徒でも、ここでつまずくことは珍しくありません。
なぜなら、中学までの英語は、文法用語を厳密に理解していなくても、感覚と暗記でかなりの部分を乗り切れてしまうからです。扱う文の構造が単純で、覚えるべき語彙も限られているため、「なんとなく分かる」で正解にたどり着けます。
ところが高校英語では、文の構造が複雑になり、感覚だけでは処理しきれなくなる。そこで文法用語という道具が必要になるのですが、その道具を使った説明そのものに慣れていないと、説明を聞いても頭に入ってこないのです。
数学でも同じことが起こります。高校数学では、論理を組み立てて考える力が求められます。答えが合っているかどうかだけでなく、なぜその結論が導かれるのかを筋道立てて説明できるかが問われる。中学までのように、解法パターンを覚えて当てはめるだけでは通用しない場面が増えていきます。
つまり、高校での学習につまずくかどうかは、中学時代の成績の高さだけでは測れないということです。
同じ偏差値でも、抽象的な説明を受け、それを理解する訓練を積んできた生徒と、感覚とパターン暗記で高得点を取ってきた生徒とでは、高校入学後の伸び方がまったく違ってきます。
ここで注意していただきたいのは、この差が中学時代には見えにくいという点です。テストの点数という同じ物差しで測っている限り、両者の違いは表面化しません。差が現れるのは、高校に入ってからなのです。
高校受験は、合格すればそれで終わりというものではありません。その先で学び続けるための準備が、どこまでできているか。ここが問われます。そして残念ながら、現在の学校教育では、抽象度の高い説明はしばしば避けられる傾向にあります。分かりやすさが優先される中で、本来必要な難しさに触れる機会が減っているのです。
だからこそ、中学生のうちに、少し背伸びした説明に触れておく経験が重要になります。すぐには理解できなくても、抽象的な説明に耳を傾け、考える経験を積んでおく。その積み重ねが、高校に入ってからの理解力を支えてくれます。
お子さんが今受けている指導が、そうした経験を与えてくれるものかどうか、一度考えてみていただければと思います。
那須塩原市西那須野 本松学習塾 塾長のブログ
今の勉強法で伸びない理由を、短時間で整理します

