「心を鍛えろ」と言うと、最近は叩かれます。
根性論だ、時代錯誤だ、と。その批判には一理あります。気合いで成績が上がるなら、誰も苦労しません。
しかし私は、長年生徒を指導してきた経験から、やはり「心の強さ」は学力の土台だと考えています。ただし、それは「歯を食いしばれ」という話ではありません。もっと具体的で、構造的な話です。
心を鍛えるとは、結局のところ「やると決めたことを毎日欠かさずやり抜くこと」に集約されます。
毎日やる。例外なく。
これだけです。しかし、この「これだけ」が途方もなく難しい。なぜなら、人間には「面倒臭い」という感情が標準装備されているからです。
ここで少し立ち止まって考えてみたいのですが、「面倒臭い」とは何なのでしょうか。
これは単なる怠惰ではありません。脳がエネルギー消費を抑えようとする、極めて合理的な生存戦略です。
人間の脳は体重の約2%しかないのに、全エネルギーの約20%を消費します。だから脳は常に「省エネ」を志向します。やらなくて済むならやりたくない——それは生物として当然の反応なのです。
つまり「面倒臭い」と感じること自体は、何も恥ずかしいことではありません。問題は、その感情に毎回負けるかどうかです。
ここに、学習における重大な分岐点があります。多くの生徒は「今日の分の宿題をやる」ことを、純粋に学力向上の手段としてのみ捉えています。
そうすると「別に今日やらなくても、週末にまとめてやればいい」という判断が生まれます。締め切りに間に合えば同じだ、と。
しかし、この考え方には決定的な見落としがあります。毎日やることの本質は、その日の学習内容を消化することだけではありません。
「面倒臭い」という感情が湧いたとき、それでもやると決めたことを実行する——その一回一回の積み重ねこそが、心を鍛えているのです。
週末にまとめてやれば内容は同じかもしれません。ですが「面倒臭い」に打ち勝つ回数が圧倒的に少ない。筋トレで言えば、週に一回だけ負荷をかけるようなものです。それでは心の筋力はつきません。
さらに興味深いのは、「面倒臭い」という感情が人類の進歩を支えてきた側面です。
面倒だからこそ、人はより効率的な方法を考えました。道具を作り、技術を磨き、テクノロジーを発展させました。「面倒臭い」は怠惰の証ではなく、創造と成長の原動力でもあります。この感情と正面から向き合う力を養うことは、勉強ができるようになるという次元を超えた、人間としての成長につながります。
保護者の方にお伝えしたいのは、お子さんが「面倒臭い」と言ったとき、それを叱る必要はないということです。その感情は自然であり、むしろ成長のチャンスが目の前にあることを示しています。
大事なのは、その感情を感じた上で、それでもやるかどうか。そしてそれを毎日続けられるかどうかです。
「毎日欠かさずやる」という行為は、学力を伸ばし、心を鍛え、そして「やるべきことをやれる自分」を手に入れることにつながります。面倒臭い、やりたくない——そうした感情に縛られていた自分が、それらを超えて動ける自分に変わる。これほど大きな自由はありません。
入試本番で最後に支えになるのは、テクニックでも知識でもなく、「自分は毎日やり抜いてきた」という事実から生まれる静かな自信です。その自信だけは、誰にも奪えません。
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