参考書を買い足す。勉強時間を増やす。塾での自習時間を増やす。
成績を上げるために、多くの保護者がこうした「勉強そのもの」に焦点を当てます。もちろん、それらも必要です。でも、長年子どもたちを見てきた経験から、私は同時に大切なことがあると確信しています。
それは、「勉強」の周辺にあるものを整えることです。
「周辺」とは何か
具体的には、こういうことです。
忘れ物をしない。時間を守る。丁寧にやる。最後までやり抜く。わからないことは素直に質問する。呼ばれたらきちんと返事をする。自分のことは自分でする。そして、ありがとうを言う。
「え、それだけ?」と思われるかもしれません。あまりにも当たり前すぎて、学力向上とは無関係に思えるかもしれません。
でも、これらすべてが、学力を支える土台なのです。この土台がしっかりしていない状態で、いくら勉強時間を増やしても、効果は限定的です。砂の上に家を建てるようなものだと言ってもいい。
「ありがとう」と学力の意外な関係
特に注目したいのが、「ありがとう」を言えるかどうかです。
「そんなこと、学力向上と何の関係があるのか」。そう思われて当然でしょう。でも、これが深く関係しているのです。
お礼を言えるということは、誰かが自分のために何かをしてくれたという事実に自覚的であるということです。言い換えれば、自分の周囲で何が起こっているのかを、きちんと認識できているということなのです。
逆に、周囲で起こっていることがボンヤリとしか見えていない。起こった出来事に反応せず、対応もしない。こうした状態の子は、残念ながら学力も伸ばしにくいのです。
なぜ「周囲への気づき」が学力につながるのか
勉強とは、突き詰めれば「情報を正確に受け取り、処理し、活用する」営みです。
先生の説明を聞く。教科書を読む。問題文を理解する。すべて、外部からの情報を正確にキャッチすることから始まります。
周囲で起きていることに気づけない状態というのは、この「情報をキャッチする」という最初のステップが弱いということです。授業中の先生の強調ポイントに気づかない。問題文の重要な条件を読み飛ばす。テストの注意事項を聞き逃す。
情報が正しくインプットされなければ、どれだけ時間をかけても正しいアウトプットは出せません。
丁寧さという習慣が持つ力
「丁寧にやる」という習慣も、学力と直結しています。
計算の途中式を雑に書く。ノートの字が乱雑で、後から見返せない。「だいたいこんな感じ」で済ませてしまう。こうした丁寧さの欠如は、思考の丁寧さの欠如でもあります。
丁寧に書くということは、丁寧に考えるということです。自分がどういう手順で考えたのか、後から検証できる状態にしておく。間違えたときに、どこで道を誤ったのかを突き止められる。これが、学力を着実に伸ばす子の共通点です。
最後までやり抜く力
「最後までやる」という習慣も欠かせません。
難しい問題に出会ったとき、すぐに諦めてしまう。「わからない」と言って、考えることを止める。しかし、学力が伸びる瞬間というのは、まさにその「わからない」と格闘している最中にあるのです。
粘り強く考える。試行錯誤を繰り返す。これができるかどうかで、伸びる子と伸び悩む子が分かれます。
自立心が育てる学習力
「自分のことは自分でする」。これも重要です。
持ち物の準備、時間割の確認、提出物の管理。これらをすべて保護者がやっていると、お子さんは自己管理の訓練を積めません。
中学、高校と進むにつれ、勉強は自己管理能力との戦いになります。どの科目をいつ勉強するか。苦手分野にどう取り組むか。すべて自分で判断し、実行する必要があります。
小学生のうちから自分のことを自分でする習慣がついていないと、この段階で大きく躓くことになります。
忘れ物と時間を守ること
忘れ物が多い子は、「明日何が必要か」を予測する力が弱い傾向があります。そして、この予測力こそが、勉強では決定的に重要なのです。
問題を解く過程で「次にどうなるか」を予測する。長文を読みながら「この後どんな展開が来そうか」を推測する。こうした力なくして、学力の向上はありません。
時間を守るという習慣も同じです。時間を意識して行動できるということは、計画性があるということ。この計画性が、効率的な学習を可能にします。
今日から変えられること
これらの習慣は、どれも明日から変えられることです。特別な才能も、高額な教材も必要ありません。
ただ、習慣を変えるには時間がかかります。一朝一夕には変わりません。だからこそ、今日から始める必要があるのです。
朝、自分で起きる。持ち物を自分で準備する。家族に何かしてもらったら、お礼を言う。やると決めたことは、最後までやる。
小さなことです。でも、その小さなことの積み重ねが、お子さんの認知能力を育て、自立心を養い、結果として学力の土台を作ります。
学力という樹を育てる
学力という大きな樹を育てるには、「勉強」という幹だけでなく、日常習慣という根をしっかり張らせることが不可欠です。
目に見えない地中の根が、やがて大きな樹を支える。そんなイメージを持っていただければと思います。
成績表の数字だけを見るのではなく、お子さんが日々どのように生活し、どのように周囲と関わっているか。そこに目を向けることから、本当の学力向上が始まります。
参考書を買う前に、塾を増やす前に。まず、お子さんの日常習慣を見直してみてください。
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