反復練習の裏側にある感情

面倒臭さを喜びに変えるために

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

勉強において「反復」は欠かせません。

単語も文法も計算も、繰り返しによってのみ身体に染み込みます。

しかし、この「反復」には落とし穴があります。それは「面倒臭い」という感情の介入です。

子どもたちは一度「面倒だ」と感じると、その瞬間にすべての回路がシャットダウンされるかのように、学習が閉ざされてしまう。

これは私の長年の指導経験から見ても、非常に顕著な現象です。

苦手意識も同じです。数学で一度つまずいた生徒が「自分は数学ができない」と思い込むと、その後の問題に向かう気力さえ失われる。

反復を続けるどころか、学習自体から遠ざかってしまうのです。つまり、学力を積み上げるうえで一番の敵は知識不足ではなく、「ネガティブな感情」なのです。

では、どうすればよいのでしょうか。ここで必要となるのが「できた喜び」「達成感」です。

人間は目標を達成することで集中状態に入りやすくなります。例えば英単語テストをただ繰り返すのではなく、「昨日より2語多く覚える」「10回中8回正解できたら合格」という具体的な目標を設定すると、子どもは自分の成長を可視化できます。

そこに達成の手応えがあれば、「反復は面倒」ではなく「反復すればできる」という感覚に置き換わっていくのです。

スポーツでも同じです。野球で素振りを1000回繰り返しても、ただ振るだけでは意味がありません。

どのコースを狙うのか、打球をどう飛ばすのか、狙いと工夫があるからこそ、反復に価値が生まれます。学習も同様で、「何を目的に繰り返すのか」が極めて重要なのです。

指導者の役割は、この「裏画面」を起動させることにあります。

つまり、単なるノルマ的な反復を押しつけるのではなく、生徒の中に「やればできる」という感情を芽生えさせる仕掛けをつくることです。

そのためには課題の大きさを調整し、できる体験を積み重ねさせ、時にはゲーム的な要素を取り入れる。

こうした工夫によって初めて、反復練習が生きた学習へと変わります。

保護者の方々にお願いしたいのは、「うちの子は怠けている」と決めつけないことです。

本当に怠けていることもあるかもしれませんが、多くの場合、「感情の壁」に阻まれている可能性があります。

叱咤よりも小さな達成を一緒に喜ぶこと。その積み重ねが学力形成の土台になります。

勉強は量ではなく、感情と結びついた質のある反復が力を育てます。

子どもが「反復の喜び」に出会えるよう、当塾の指導も工夫を凝らしてまいります。