教育とエビデンス

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

現代では、様々な社会事象がエビデンスをもって語られるようになりました。

主張するならエビデンスを示さなければならないという風潮があるように思います。

数年前、教育経済学者の中室牧子教授の「学力の経済学」という本がベストセラーになりましたが、エビデンスベースの教育政策が以前に比べると浸透してきています。

ただ、難しいのは、教育は科学実験のように「条件」を整えて行うことができない、という点です。

生徒一人ひとりが異なる背景や個性を持っており、その全てに対して同じ方法でアプローチすることは不可能です。

教室での教育は、まるで自然界の生態系のように多様性に満ち、常に変動しています。

ですから、科学的なエビデンスを簡単に得ることは難しいのです。

私もしばしば指導において、科学的な根拠はないものの、長年の指導経験にもとづく「指導勘」をもとに生徒に接することがよくあります。

長年の指導経験から得られる「経験則」が、非常に重要な役割を果たすことがある、ということです。

経験則とは、私たち指導者が日々の実践を通じて蓄積してきた知識や知恵のことです。これにより、教育技術を繊細に調整し、生徒たちの学びをより深めることができることも多いです。

しかしながら、最近では、「エビデンスに基づく教育」が注目されていますが、経験則が無視されることも少なくありません。

 

確かに科学的根拠に基づく手法は重要ですが、それだけで全ての教育課題に対処することはできません。

 

ある生徒が特定の学習方法で成果を上げたとしても、別の生徒には同じ方法が通用しないこともあります。

 

このような場合、教師は自身の経験則を駆使して、個々の生徒に合わせたなアプローチを見つけ出すのが最適解です。

 

また、指導は時代の変化に敏感でなければなりません。

 

情報技術の進化や社会の変化に伴い、生徒たちの学び方や興味関心も変わっていきます。経験則を基にした柔軟な教育アプローチは、こうした変化に対応するために不可欠です。