やりたくないこと

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

春期講習が始まりました。申込み多数により、ほとんどの受講枠が満席となっています。

新年度を迎えるにあたり、多くの新規の方と面接しています。

ここ数年の傾向として、本人の意思の尊重を掲げられる保護者の方が多いです。

 

具体的にいうと、本人がやりたくないことはやらないという態度であれば、保護者も何も説得せず、やりたくないという本人の意思をそのまま受け入れる傾向が強まっていると感じます。

もちろん、本人がやりたくないのに、無理矢理やらせても何の意味もありません。

塾に行きたくないのに塾に来ても、何の学習効果も得られません。

ただ、本人のやりたくないという意思を尊重するというところに、本人・保護者の葛藤があまり感じられないのが非常に気になります。

 

社会に出たら、その日常は、やりたいことばかりではありません。時にはやりたくないことにも取り組む必要があるのが現実です。

このような状況に直面したとき、「やりたくないことはやらない」という選択をするのか、「やりたいことをやるためには、やりたくないこともやり、それを乗り越える必要がある」と考えるのかで大きくその後の人生が変わってきます。

やりたくないことに取り組むことの最大の利点は、自己成長です。

たとえば、数学が苦手である学生がいたとします。その学生が数学の勉強を避けてしまえば、成績は向上しません。しかし、苦手ながらも勇気を持って数学の問題に取り組むことで、徐々に理解が深まり、成績が向上するかもしれません。

 

また、スポーツ選手であれば、厳しいトレーニングに耐え、食事制限を受け入れなければなりません。アーティストであれば、スキルを磨くために退屈な練習を繰り返す必要があります。

 

大きな目標を達成するためには、やりたくないことにも真剣に取り組む必要がある時が必ず来ます。

受験勉強に取り組むことの最大のメリットはこのプロセスを踏めることです。結果はどうあれ、困難に立ち向かう力を身につけることにもつながることが受験の素晴らしさの一つです。

また、やりたくないことに取り組むことは、自分自身との約束を守る行為につながります。

 

目の前の困難から逃げ出さず、自らに課した課題に真摯に取り組む姿勢は、他人から見ても尊敬に値します。

 

このような姿勢を持つ人は、困難な状況でもひるまず、常に前向きに進む力を持っています。この力は、学業はもちろん、社会生活や将来のキャリアにおいても非常に価値のあるものです。

 

ところが、本人が「やりたくない。なんとなく大変そうだから」という意思を表示し、保護者が無条件にそれを受け入れる。何の逡巡も後ろめたさもない。

 

安易に困難から逃げることで、大きく自己を成長させる機会を失ってしまっている。そしてそのことに無頓着。

 

非常にもったいないことだと思います。