自分の指導を疑ってみる

· 塾長の指導観・雑感

那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ

2022年度が始まりました。学校の授業も始まり、新年度の授業指示も出始めています。

新高1で英語の教科書本文をすべて手書きで写してくるように指示する高校の先生がいます。未だにそのような先生がいるのは驚きです。(通称:写経←書籍 自学力の育て方 私の執筆パート参照)

塾生の話によると、「書いているうちに覚える」という効果があるので無駄ではない、ということで指示を出していると先生から説明があったそうです。

先に英文の意味を理解し、十分に英文を咀嚼した上で書き写すのであれば、まだ学習意義を理解できなくはありませんが、予習段階で未習単語も多く、意味が分からない文章を書き写させる作業は、極めてコストパフォーマンスが悪いです。

ベテランの先生ほど陥りがちなのが、「正しいと自分で信じていること」を疑ってみるということができなくなってくるということです。

まだ新人の先生で授業経験も浅く、自信がないときは自分の指導を疑ってみたり、客観的な目線で捉えようとすることが多いです。その結果、不適切な指導をした場合、すぐに修正をかけたり、より授業内容を改善しようと努力します。

結果的に生徒に実害はあまり及ばないことが多いです。

しかし、「これは正しい」と思っていることをやらせる時は、思考停止をして暴走してしまいがちです。これは本当に気をつけなければなりません。

自分は全文書き写しをして効果があった。そして、過去の生徒の中には、全文を書き写して効果が出た生徒もいるかもしれません。

ただ、高校生が学ぶのは英語だけではありません。

国公立を目指すのであれば5教科7科目(新高1からは情報が入るので6教科8科目)入試レベルまで仕上げなければいけません。

そして入試に使わない科目であったとしても、必修科目は勉強しなければ進級・卒業できませんから、高校生は勉強時間を取られます。さらには、部活・委員会など高校生の生活は多忙を極めています。英語の勉強だけに時間をたくさん使うわけにはいかないのです。

そんな中で意味を分からない英語本文を、ただただ作業として写させる先生は、生徒の多忙な現状・気持ちをほとんど想像していないのではないでしょうか。

目的意識もなく、ただ英文写す行為は勉学ではなく、苦行です。

塾長の私も塾講師として指導を始めて20年近くになり、ベテランの領域に近づきつつあります。

私自身も「これは正しい指導だ」と思っていることをやらせるときは、本当にこれでいいのか、思考停止になっていないかと、立ち止まって考えるようにしてみる。

自戒の念をこめて書いておきたいと思います。