那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ
「先生、どうしたらすぐに成績が上がりますか?」
学習塾を経営していると、子どもたちからこうした質問を頻繁に受けます。
ご家庭でも「もっと簡単に覚える方法は?」と子どもが尋ねてくること、ありませんか。
保護者として、子どもにはなるべく楽に、ストレスなく成果を出してほしいと思うのは自然なことです。
しかし、その背景には現代ならではの“効率重視”や“結果至上主義”の影響も見逃せません。
例えば、英単語や計算問題。最近の小学生でも「アプリやゲームでサクッと覚える方法は?」と聞いてきます。「漢字ドリル、何回書けばいい?」といった具体的な効率ばかりを気にする子も増えました。
一方で、親の側も「今どきは昔と違う」「やり方は一つじゃない」と“個性”や“主体性”の名のもとに、あえて細かく口を出さないご家庭も多いようです。
ただ、現場で見ていると、楽な方法や近道ばかりを探す子ほど、学力が伸び悩みやすいという現実があります。
例えば、計算ミスの多い子ほど「ミスしない裏ワザ」を欲しがりますが、実は地道な反復練習と毎回丁寧に式を書いて確かめる習慣こそが、最大の“裏ワザ”だったりします。
では、“個性”や“のびのび”を大事にするのは間違いなのか?
そうとは思いません。実際、型にはめすぎて息苦しくなる指導が子どものやる気を失わせることも事実です。
ただし、「やりたいことだけやればいい」「嫌なことはやらなくていい」と短絡的に捉えてしまうと、壁にぶつかった時に自分で乗り越える力が育たなくなります。
ある中学生が「理科の暗記が苦手で、どうしたら点数が上がるか」と相談に来た時、私はまず「じゃあ、好きな分野や得意な単元から深掘りしてみよう」と提案しました。
その上で、「でも、どうしても覚えなきゃいけないことは、地味な反復を避けては通れないよ」とも伝えました。
“好き”や“個性”を伸ばすことと、“苦手”や“基礎”をコツコツ積み上げることは、どちらも必要不可欠なのです。
大人として大事なのは、「近道なんて本当はない」「遠回りに見えても、一つ一つ積み重ねた努力だけが力になる」という現実を、子どもに“否定”や“叱責”ではなく、納得感とともに伝えることです。
すぐできる方法を求める子どもに、「みんな苦労している」「自分だけ特別じゃない」という等身大の視点を持たせつつ、努力はちゃんと報われるという実感を与えてあげてください。
「楽な方法」は確かに魅力的ですが、最終的に自信となるのは“自分の手で積み上げた経験”だけです。保護者の皆様にもぜひ、その現実を伝える“覚悟”を持っていただきたいと感じています。