那須塩原市西那須野の高校受験・大学受験塾 本松学習塾塾長のブログ
今日は、多くの保護者の方々から寄せられる悩みについてお話ししたいと思います。それは、「うちの子は本をたくさん読むのに、どうして国語の成績が伸びないのでしょうか?」というものです。
確かに、「本をよく読む子は国語力がつく」というのは、よく耳にする話です。しかし、実際にはそう単純ではありません。
まず、本を読むことで確実に身につくのは、「文章を処理する速度」と「語彙力」です。これは間違いありません。
例えば、ある中学生は、小学生の頃から歴史小説を愛読していました。彼の読書速度は同年代の2倍以上で、難しい言葉の意味も瞬時に理解できました。
しかし、国語のテストとなると、途端に点数が伸び悩んでいたのです。なぜでしょうか?
その理由は、「読書」と「国語のテスト」では求められるスキルが異なるからです。
1. 文章のレベルの違い:
子どもたちが好んで読む本と、国語のテストで出題される文章は、難易度が大きく異なります。テストでは、年齢相応よりもかなり難しい、いわば「背伸びした」文章が使われることが多いのです。
2. 読み方の違い:
本好きの子どもたちは、自分の興味や感情に従って自由に読書を楽しんでいます。これは素晴らしいことですが、国語のテストでは逆効果になることがあるのです。
SF小説を読むのが大好きなある女子は想像力豊かに物語の世界に入り込むのが得意でしたが、それが仇となり、テストでは自分の解釈を押し付けてしまい、正解を導き出せないことがありました。
国語のテストでは、自分の主観を抑え、客観的に文章を読み解く力が求められます。これは、趣味の読書とは全く異なるアプローチなのです。
では、読書好きのお子さんの国語力を伸ばすには、どうすればよいのでしょうか?
1. 多様なジャンルの読書を勧める:
小説だけでなく、評論や論説文なども読むよう促しましょう。これにより、様々な文体や論理展開に慣れることができます。
2. 「批評的読み」の練習:
本を読んだ後、「著者の主張は何か」「どのような根拠が示されているか」といった点について意識してみてください。これにより、客観的な読解力が養われます。
3. テスト形式の問題演習:
テストで点を取るためには何と言ってもテスト形式の問題演習を多くこなす必要があります。
誤答した場合、解説を読み、なぜ間違えたのか、自分の頭の中で言語化しておくことが非常に大切です。
4. 音読の習慣化:
特に難しい文章は音読することで、理解が深まります。明治時代の文学作品なども、声に出して読むことで親しみやすくなります。
本好きのお子さんは、確かに大きな可能性を秘めています。その潜在能力を引き出し、テストの点数にも結びつけるには、少しの工夫と練習が必要なのです。
一朝一夕には結果が出ないかもしれません。しかし、読書の楽しさを損なわずに、少しずつ「テストに強い読み方」を身につけていくことで、必ず力はついていきます。